2020年4月26日日曜日

ホンモノのおカネの作り方 10 -問題の整理

 休校中の課題の提示から2週間が経ちました。
 各科目の課題の中には、GW明けの学校再開を想定した課題もあります。一方、学習の方向性だけを示した課題もあります。本ブログ「現代文」の課題もそうです。要約を週に2本、という課題なので、ここまでで4、5本の要約をしていれば、とりあえずは指示どおりです。さらに「学習の手引き」について考えてあれば、「現代文」という科目の学習としては十分です。
 おそらく予定のGW明けの学校再開は難しいでしょう。感染者増加のペースは落ちていないので、緊急事態宣言を解除する理由がありません(解除するなら、活動自粛には実は感染拡大を防止する効果がない、という意見が専門家会議でまとまるしかないでしょう。が、それはここまでの方針を誤りであったと認めることになるので、難しい)。
 引き続き休校が続くとして、その間、課題は同じように続けてください。

 一方、このブログでは授業が行われていたら、という想定で、授業で取り上げたかもしれない教材文を題材に、読解のためのメソッドを紹介しています。
 繰り返し書いているように、メソッドは、知っていると役に立つというようなものではなく、使うことで、身につけることでしか役には立ちません。
 そしてさらに、可能ならば、ここで問題を提示することで、みなさんが授業を受けたときのように「考える」ことができないか、とも期待してきました。
 まあしかしこれについては悲観的にならざるをえません。おそらくみなさんは、数学の問題を解くようには、現代文の問題について一人で考えるという経験をしたことがないだろうと思われるからです。何かを一人で考え、考えが深まっていくという経験を。
 「考える」ためには、やはりある程度の強制力があり(例えば学校に集められて、授業を受けさせられる、といったような)、そこには目の前に他者がいて、対話をする、というような契機が必要なのです。
 一人で考えるという「経験」を数知れずしてきた私でも、前回までのように、対話という契機があると、いきなり、一人ではできなかったような考察に導かれます。前回までの考察では、自分なりにはこの文章はこう読めば良いだろうと見当をつけていた読みとは違う読みに目を見開かされました。「認識の変容」というやつです。
 こういうことが起こるから授業は面白い。

 さて、「ホンモノのおカネの作り方」について「考える」ために、問題を整理します。

  1. 文中の「逆説」と「ホンモノの形而上学」を説明する。
  2. 文章全体の「問い」を「~か?」という形で表し、その「答え」をまとめる。

 1については、もちろん語義ではなく、文中での意味を説明するのです。そしてもちろん、「逆説」も「形而上学」も、文中ではどういっているかを指摘することはできます。

  • 逆説ホンモノの「代わり」がそれに「代わって」それ自身ホンモノになってしまうというこの逆説
  • ホンモノの形而上学ホンモノのおカネがホンモノであるのはそれがホンモノの金銀からできているからであるという「ホンモノの形而上学」

 文中から上記部分を指摘するだけでは「わかった」と感じられるようにはならないからこそ問題なのであって、上記記述の意味をこそ説明すべきなのです。
 ここでは「説明」するための方向性について、単なる「何のことか」よりも適切な問いがあるのですが、前回予告を先延ばしして、さらに次回。

 2「文章全体の『問い』」については前回「授業8」で言ったように、以下のように「問い」と「答え」が出揃うことは共通認識として、それでも「わからない」感覚をどう納得させたらいいのか、を考えてください。

  • 問い ホンモノのおカネとはどのようなものか?
  • 答え その時々の「代わり」のおカネに対するその時々のホンモノでしかなく、それ自身もかつてはホンモノのおカネに対する単なる「代わり」にすぎなかったもの

 つまり、上記とは違う「問い」と「答え」の組み合わせを考えてください。

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