2020年10月15日木曜日

こころ 6 プロット作成

 思いがけず臨時休校によって授業が欠けてしまったので、予定していた学習を心ならずも宿題とします。


 本文精読の前に「こころ」という小説の全体像を把握しておこう。

 「こころ」は新聞連載小説だから、各章の長さは連載一回分で1500字前後、原稿用紙4枚弱で揃っている。教科書本文中に挿入される黒い菱形が連載一回分の切れ目を示している。これが合計110章、110日間、4か月弱、今から100年と少し前、毎日お茶の間に届けられたわけだ。

 全体が三部構成で、各部の章立ては次のとおり。

  • 上「先生と私」  36章
  • 中「両親と私」  18章
  • 下「先生と遺書」 56章

 全体の半分程が「下」であり、実際に「こころ」として紹介されるのも「下」の内容であることが多い。「Rの法則」でもそうだった。

 教科書には「下」の35章から49章までが収録されている。

 「下」は全体が「先生」の遺書で、文中の「私」は「上」「中」で「先生」と呼ばれていた人物だ(「上」「中」の「私」は「先生」より10歳ほど年下の大学生)。「上」「中」で謎めいていた「先生」の言動の理由が明らかになっていく。


 「こころ」の教科書収録部分の「あらすじ」を辿ってみよう。

 始まってすぐ、正月のある日、Kがお嬢さんへの恋心を「私」に告白するエピソードが語られる。

 そのあとはKの思惑についてあれこれ思い悩む「私」の思考が述べられるばかりでこれといった出来事も起こらず、わずかにKに対して直接問題の告白の真意を問い質すが、明確な答えを得ないという場面が二つほど描かれるが、それもKの答えが曖昧なためにはっきりとした事態の変化につながらず、「エピソード」らしい立ち上がりとしてはあまり感じられない。

 さて、その後の物語の展開を整理してみよう。


 教科書本文中で語られる出来事や、描かれている場面を、教科書を見ずに挙げてみよう。

 どのようなエピソードがどのような順番で起こったか?

 教科書を閉じた状態で考えるというのがミソだ。ページを開いて探すのではなく物語全体を俯瞰してストーリーの流れ、出来事の因果関係を把握することが目的なのだ。

 教科書は学校に置いてあるだろうが、とにかく読み直さずに考えればよい。「Rの法則」「青い文学」が記憶の助けになっている部分もあるはずだが、「思い出す」というより「考える」。

 思いつく場面、出来事は、それぞれどのような順番で起こったと考えると、整合的な因果関係で捉えられるか?


 出来事も場面も、細かく挙げればいくらでも細かくできるが、「エピソード」「出来事」というほどのまとまりを考えて、7~8つに整理する。

 ノート(ルーズリーフ)に、最初に「Kの告白」と書き、それに続く「出来事」「場面」を7~8つ、1ページ全体に、余白を空けて書き出しなさい。

 余白には後で書き込みをする。ページ全体で教科書収録の全体がレイアウトされるように書くこと。


 次の授業の際にこのノート(ルーズリーフ)を持参すること。


 このように物語中の出来事の流れをまとめたものを「プロット」(もしくは「シノプシス」)という。

 授業ならばここで作業時間を5分程取って各自書き進める(したがってこの課題はそのくらいの時間、取り組めばよい)。

 その後、教科書を閉じたまま、班内で互いのプロットを照らし合わせる。

 なかなか一致はしない。記憶が不正確な場合もあるが、何をひとまとまりにするかの切れ目が人によって違うことがあるからだ。

 必要に応じて訂正や追加を行う。


 さて、ここまでが、予定していた3回目の授業の最初の10分ほどの展開だ。

 今週末までにまずはここまで。


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